はじまりの問い
「なぜ中国語なのか?」
そう聞かれることが多いのですが、実は出発点は逆でした。
10年前、私が最初に関わったのは中国の子どもたちに日本語を教えることでした。
原点の気づき

中国の子どもたちが一生懸命、日本語の歌を覚えたり、ひらがな、カタカナをなぞったりしている姿に触れて、
「言葉を学ぶことが、子どもにとってどれほど自然で、力強いことなのか」を実感しました。
その経験を通じて気づいたのは、言語学習は幼児期こそが最も重要だということです。
「楽しい」と思える体験があればこそ、学びは続きます。
逆に小学校高学年になると、学習能力は高まっても、語学への抵抗や他の興味・タスクが増え、同じ効果を期待するのは難しい——この点は、多くの人が勘違いしがちな部分でもあります。
私はその芽生えを、幼児期の子どもたちと接するなかで肌で感じました。

幼児教育における中国語の意義
日本の子どもたちにとって、中国語は「漢字」という親しみやすさと、音のリズムや声調という未知の世界を同時に体験できる言語です。
とりわけ、日本は世界の中で唯一、漢字文化圏の中で暮らす国です。
子どもたちは、ひらがな・カタカナを学んだのちに漢字を学習するという独自のステップを踏みます。
そのため、中国語の文字体系には自然な親近感を持つ一方で、発音や声調といった新しい課題にも直面します。
私はこの「親しみと難しさの両面」を体験できることこそ、日本の子どもにとっての大きな学びの機会だと考えました。

保護者とともに歩んだ道
もちろん、私ひとりの力では実現できませんでした。
「子どもに新しい可能性を開きたい」という保護者の皆さまの想いが、活動を支えてくださったのです。
この10年の実践は、研究であると同時に「ご家庭との共同の歩み」でもあります。