昨日のレッスンでの出来事です。3歳の生徒Nさんは、教材そのものを「作る」ことを大変楽しんでいます。ハサミを手にカードを切り取り、自分の作品を手にすることで、まるで先生になりきったかのように学びに向かっていく姿が見られました。
印象的だったのは、レッスン開始時の言葉です。彼女は「今日は、チョキチョキする紙がない」と発言しました。これは「今日はカードを作らないのか?」という意味合いであり、教材作りが学習の一部として不可欠であると、幼児なりに感じ取っていることを示しています。
この日の学習テーマは、新しい会話表現「元気?」「私は元気」。指導者が会話カードを提示し、自然な導入を試みたところ、生徒さんは「〇〇はカードがない」と反応しました。自作カードが存在しない状況に、納得できなかった様子です。お母様も少し緊張しながらその様子を見守られていました。

教材作りと内発的動機づけ
幼児期における「手仕事(切る・貼る・作る)」は、心理学的にも重要な活動です。教育心理学の観点から見ると、自分で教材を作る行為は「内発的動機づけ(intrinsic motivation)」を高める要因の一つです。
Deci & Ryanの自己決定理論(Self-Determination Theory)によれば、人は「自律性」「有能感」「関係性」が満たされることで意欲的に学習に取り組むとされています。今回の事例では、
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ハサミでカードを作る=自律性の発揮
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先生役になりきる=有能感の実感
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指導者や母親とのやり取り=関係性の確認
という三要素がそろっていました。
つまり、カード作りは単なる準備活動ではなく、幼児にとっては学習への動機づけを支える中心的な営みであると考えられます。

まとめ
今回の観察から得られた示唆は、「教材作り自体が学習を支えるプロセスである」ということです。
市販教材の利用は効率的ですが、幼児自身が手を動かして作ったカードには強い愛着と主体性が伴い、学習への意欲を引き出します。
AIが発展しても、やはり自発的な活動でしか得られない学びは残された希望ですね。
教育現場ではというより、超情報化社会では「効率化」が優先されがちです。しかし、幼児期においては敢えて「非効率」に見える工程が、意欲や主体性の育成に直結する可能性があります。
今後も弛まぬ観察を積み重ね、教材作りと学習動機の関係をさらに検討していきたいと思います。



